それだけ機嫌悪そうに言うと、陸はあたしに背中を向けて、またなにも喋らなくなった。
あたしは潤んだ瞳で、その背中をしばらくの間見ていたんだけど
自然と目の前にある背中に自分から近づいて行き、陸の首に自分の手を回して…陸におんぶしてもらった。
「グスッ。ありがと…」
「…………」
鼻を鳴らしながら耳元でお礼を言ったけど、陸は相変わらず無言のまま。
だけど陸の背中は素っ気ない態度と違って、とっても温かくて無視をされていても…なんだか嬉しかった。
陸のサラサラの髪の毛が風に揺れて、ときどきあたしの鼻をくすぐる。
涙はすぐにどこかに飛んでいき、あたしは陸の背中で笑っていた。
そして、やっと目的の公園に到着した。


