【藤堂平助】




「ええぃ小僧め!!」



人集りを割って、最前列にたどり着くと



体術で、男を蹴り飛ばす悠真がいた



伸びた男をほったらかし、悠真の手を引く



「藤堂さん どちらへ?
どうしたんですかぁ?」



人気の無いところまで来ると



悠真の方へ向く



「土方さんから、あんなに言われたのに
しかも、丸腰じゃないか!!
何考えてるのさ!!バカじゃないのか?」


「誰も助けに出ないから……
仕方ないじゃないですか」


「君は、自分が女だと、自覚してる?」


「してますよ」


「だったら」


「だったら?男でも、助けに出ないで
見て見ぬ振りするじゃないですか!!
私は、女だから見て見ぬ振りをしろと?」


「見てろって訳じゃない!!
助けを呼べるだろ!」


「それじゃあ、間に合わないです」


「間に合わせる!!」


「藤堂さんは、男だから守っているの?」


「え?」


「守りたいから、守ってるんでしょ?
私だって、藤堂さんと同じ気持ちです!
なのに……
私は、だめなんですか?
女は、守っちゃだめなの?」


「女は、他に守るものがあるだろ!!」


「ありません」



悠真は、真っ直ぐに俺を見て言った


「世の女子には、あっても
私には、ありません」


恐ろしいほど、綺麗な目をしていた