二番目くらいに、聞きたくない台詞







「家茂と一緒に、江戸へ帰りたい!」








てっきり、闇から救えたと思っていた


悠真は、まだ闇の中だったのか


食欲不振もそのせいか……





山崎の目は、確かだな






俺は、全然わからなかった


よく笑っていたから……




そうだ




笑い過ぎだ




悠真の笑顔は、偽りだと



桂も言っていた






今だって、家茂様とニコニコしながら

昔、作ったお菓子の話をしている







「どうして?新選組にいるのが
嫌になったの?悠真がいないとさみしい」



総司が言うと




「山崎さんに、お薬入り甘味を
作って貰って下さい」





はぐらかした





「土方さんと、会えなくなるんだよ!?」






「その方が、都合が良いです
私は、もう……土方さんを想ってません」




一番聞きたくない台詞まで聞いてしまった









「俺といるのが辛いから、江戸へ
……って、ことか?」




「そうですね」




たんたんと、喋る



これは、あの縁談後、朝比奈さんに

命令していた時の口調




あらかじめ、用意した台詞だ






「少し、個人的な想いを言います」


と、家茂様の手前、前置きをした




「悠真… てめぇなぁ!!
一度なら、許してやろうと思ったが
二度も騙されると、思うなよ!!
何が、江戸に帰りたいだ!!
勝手に、俺の前からいなくなんじゃねぇ!
俺には、お前が、悠真が必要なんだ!!」





「僕だって!!悠真…
僕が、助けてあげるから…
その苦しみから、解放してあげるから」








「何の目的で?」


悠真は、少しも動じずにいた




「目的?」



「僕らは、悠真が大好きなんだよ!」


「家茂も、私のこと好きよね?」


「もちろんだ」


「どう違うの?私が江戸へ帰ると
何か都合が悪いの?」



相変わらず、ニコニコしているが


言葉にトゲがある上、悠真の目は


俺達を不審がっていた






なんて言えば、信じて貰えるのか


わからず

答えることが出来なくて、押し黙っていた