「え、林檎さんと泉澤さんって、そういう関係…」

「違いますから」


後藤さんをキッと睨むと、後藤さんはすぐに口をつぐんだ。



「へー、そうなのかよ」

「?」


すると、何故か翔の機嫌が悪くなった。
あたしは首を傾げて翔を見上げる。



「何よ、事実でしょう?」

「ムカつく、林檎のくせに」


フィッとそっぽを向き、腕組をする翔。


え、あたし何か怒らせるような事言った??
だって、勘違いされたら、困るのは翔でしょう?


「フンッ、じゃーな、林檎」


まるで子供のような拗ね方で、奥へと戻っていってしまう。
それを見送り、あたしは困り果てた。


え、あたし何か拗ねさせるような事言った!?
いつ!?


「えーと。先生、そろそろ俺は本社に戻りますね!」


この微妙な空気を払うかのように、後藤さんが伝票を持って、立ち上がる。


「なら、あたしも帰ります」


翔は仕事に戻ってしまったし、少しウインドウショッピングして帰ろう。