「泉澤さん、でしたっけ。すごいですね」

「本当よね……」


後藤さんの言葉に、あたしもうんうんと頷く。
すると、嶺ちゃんに肘でつつかれた。


「バリスタ王子のお姫様は林檎さんなんですよ!羨ましいなぁ」


あぁいけない。
嶺ちゃんにちゃんと本当の事話してなかったんだった。


「嶺ちゃん、あたしと翔は……」

「あ?来てたのかよ、林檎」


また、なんて間の悪い男なの……。


リアムさんと話を終えた翔が、あたしの所へとやって来る。


「来るのが遅ぇーんだよ」


「しょうがないじゃない、仕事があったのよ」



というのも、こんな風にざっくりだけど、新作のイメージがついたから、それを紙に起こしていた。


「キャアッ、ラブラブですねぇ!」


目を輝かせる嶺ちゃんに、あたしはため息をつく。


もう、どうとでもなればいいわ。
ちょっと、面倒くさくなってきたもの。