ザ-ッ……。
不意に、雨が止んだ気がした。
「え……」
どうして、雨が……。
顔を上げると、視界に紺色の傘が視界に入る。
「アンタ、大丈夫かよ」
無愛想で、少し面倒くさそうな顔と目が合った。
あれ、どっかで見た事ある……?
オレンジブラウン色のツーブロックマッシュヘアーのイケメンがそう言ってあたしに傘をさしてくれている。
背、高いな。
180㎝くらいありそう……。
「つか、なんでこんなとこで泣いてんだよ」
「えと……」
こんな無愛想な知り合いはいないか。
きっと気のせいね。
「彼氏に振られた……のよ」
というか、何で会って間もない人にこんな話してるんだろ。こんな、重い……。
あたしは、みっともなくて、目線を地面へと落とした。


