失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。



打ち付ける雨は、あたしから容赦なく体温を奪っていく。


何がいけなかったのか?

どうすればいいのか?

どうして、もっと早く気持ちを伝えてくれなかったのか?


どんなに自分に、もういなくなった人に問いかけても、英太は帰ってこない。


それが、現実だった。


「ううっ………」


その現実を受け止めて初めて、あたしはようやく、涙が溢れた。


27歳の誕生日、今日は人生で一番めでたい日になるはずだったのに……。


今日は、人生で一番最悪な日だ。


「ふっ……うぅ…っ」


涙なのか雨なのか分からないくらいぐちゃぐちゃなのに、惨めさを隠すせめてもの抵抗で両手で顔を覆った。