失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。



ーカランカランッ


「いらっしゃいませ、カフェ『Bitter Lover』にようこそ!」 


扉を開けると、茶髪のポニーテルが可愛らしい女の子の、元気な笑顔に迎えられる。


「待ち合わせなの」

「はい、ご案内しますね!」


メニューを持った女の子は、あたしがいつも座る窓際の端の席に案内した。


そこに、見知った黒髪の癖毛で、なよなよとした性格とは不釣り合いな長身の男を見つける。


……後藤だ。


「ありがとう、とりあえずコーヒーで」

「承りました、砂糖とミルクは無し……でよろしかったですか?」


いつもここへ来るから、店員さんはあたしのコーヒーの飲み方を覚えている。


それがなんだか嬉しくて、ここに通う理由だったりする。


「それでお願い」

「承りました、ごゆっくりどうぞ!」


あたしがお礼を言うと、女の子は笑顔で離れていく。


あたしはようやく、泣きそうな顔であたしを見る後藤さんの前に座った。