「今、何ておっしゃいました??」
「紗枝、あなた2度あたしを殺す気?」
あたし以上に驚いている紗枝に、あたしは電話ごしに苦笑いを浮かべた。
「あたし、夢を見てたのかなぁって、思うのよ…」
あたしは、歩く足を止めずに、紗枝に話す。
誰かに聞いてほしくて、心が苦しかったから。
「英太と付き合ってた事も、別れた事も全部」
英太と出会って恋をして、愛に変わって結婚を意識した事さえ、あたしが見ていた都合の良い夢なのかも。
その間、英太はあたしと別れたいって思ってたかもしれないのに、そんな綺麗な所しか見てこなかった。
「林檎……あたし、矢切君と林檎は運命で結ばれてるんだって思ってたよ」
運命……。
高校から、大人になった今も付き合っていたからか、あたしも、英太とはずっと離れない運命だって思ってたのにな。


