失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。



紗江……浜野 紗枝(はまの さえ)はあたしと同い歳で、高校時代からの親友。


昔は飯田だったけれど、今は結婚して浜野になった。


紗枝の旦那の浜野 敬之(はまの のりゆき)さんは5歳年上の寡黙な人で、陶芸工房を経営している。



ーピッ


「はーい、もしもし」

「林檎!連絡くれないなんて、ひどいじゃん!」


電話に出た途端、耳元で叫ばれる。
もちろん、紗枝が怒っている理由には心あたりがある。


実は、紗枝に誕生日の日に元彼の英太と会う事を話していた。

もちろん、「結婚してってプロポーズされるかもよ!」とはしゃいでいたのも紗枝。


だから、こんな事になってなんて説明すればいいのか、分からなかったのだ。


はぁ……憂鬱ね。
なんというか、恥ずかしくて惨めだわ。


「実は……」


そうして、意を決して、あたしは事の成り行きを紗枝に話す。