「もう少しで一段落するから、そこで待ってて下さいよ。それから、もう店にいるんでしょ?静かにしなさい」


「そんな事言ったって~!!もう少しで来ますか!?来ますよね!?ずっと待ってますから!!」


気持ち悪い。
ずっと待ってるとか、止めてほしい。


店に入った途端、この電話を聞いていた客が、感動の再会か?みたいな好奇の目で見てくるに違いない。


「分かりましたから、だから静かにして」


ーピッ


電話を切ってから、「はぁぁ……」と本日2度目のため息をつく。気を取り直して、またキーボードを叩く。


ーカタカタカタカタッ


「そして、薔薇のトゲが肌を傷つけるかのように……」


無意識に打ち込んだ内容を口にしながら、文章を打ち込む。そして……。


「enterっと!よし、終わり!!」


enterキーを押して、ノートパソコンをバックに入れる。そして眼鏡を外した。