「結婚しろよ…俺と」
今までで1番、弱気で不安な命令口調。
あたしは、そんなブレない翔に、また小さく笑ってしまう。
「わ、笑ってねーで、早く返事しろ!心臓が壊れる!」
「ふふっ、しょうがないわね!」
あたしは、翔の首に両手を回し、その唇に自分の唇をそっと寄せた。
あぁ、あたしの好きなコーヒーの匂い。
「キスしてくれたら、結婚してあげる」
「それなら、息するのも忘れるくらい、してやるよ」
お互いに不敵に笑う。
何故か喧嘩ごしのあたし達は、数秒で吹き出した。
「くくっ、俺達ブレねーよな」
「ふふっ、本当に」
あたし達はひとしきり笑い、そしてまた静かに見つめ合う。あたしは、そっと息を吸った。
そして、意を決して伝える。
「翔、あたしと結婚しなさいよ」
責任とって、あたし…あなたの事好きすぎる。
もう、あなたしかいらない。
「それは俺の台詞……ってことは、もう俺達結婚するでいいな?」
「ぷっ……ラチあかないものね。じゃあ、そういう事で」
あまりにも、プロポーズしている場面とは思えない状況に、あたしたちはまた笑う。
「あ!翔のおかげで、新しい新作のラストがかけそうだわ」
「あ?新作やっと、書けそうなのか?」
「もう、ラストだけなのよ」
それは、あたしの物語。
そしてやっと、自分でも辿り着かなかったラストへとたどり着いた。
「どんな話だよ?」
「それはね…………………」
あたしは、あたし達の物語題名を翔に耳打ちする。
これから先は、あなたとあたしで描いていく。
『失恋には、バリスタ王子の恋ラテをどうぞ。』
Fin.


