「そう……」
でも、あたしももう…これから先、ずっと1人かもしれない。
なら、英太みたいに割りきって、利害の一致だけで一緒にいるのもいいのかも…。
それに、一度は好きになった人だし、もういっそ、だまされてもいい。
そうすれば、翔の事……忘れられるかもしれないもの。
忘れたいわけじゃない、だけど…覚えているには、辛い。
「俺と結構してくれ、林檎」
あたしに歩み寄ってくる英太を、あたしは見つめる。
逃げる事も、駆け寄る事も出来ない。
「心が無くても……結婚は出来るわよ…」
あたしは、自分に何度も言い聞かせる。
『はやくそこに指輪はめてやりてー。そんで、もう誰にも渡らないように予約してさ』
こんな時に、翔の事ばかり思い出してしまうなんて…。
「ふっ……ううっ…無理よ…」
あたしは、翔との思い出を思い出して、泣いてしまった。
もう、翔以外の誰かとなんて、考えられない。
翔との未来しか、いらない。
「林檎、俺ならちゃんと養ってやれる!ほ、ほら!『7℃』の指輪、買うって約束したろ!?」
「そう……でももう、いらない…」
「何でだよ!!」
グイッと肩を掴まれる。
英太の顔が、すぐ近くに合った。
前なら、嬉しさにドキドキしたのに、もうそれも無い。


