「林檎さん?」

「公園の入り口に、翔がいます。どうか、翔の事……よろしくお願いします」


あたしは、涙を流しながら、それでもしっかりとそう伝えた。


「林檎さんは…翔の…」

「美紀さん。きっと、必ず気持ちを伝えて…それだけです」


ーピッ


あぁ、全部終わった……終わってしまったのね。


「ううっ……ごめんなさいっ……」


あたしは通話を切り、公園からずいぶん離れた所で、声を出して泣いた。


きっと、すごく苦しんでた。
あたしが言った言葉で、翔を傷つけるなんて……。


「ごめんなさいっ……幸せになって、翔っ…」


本当は、あたしが幸せにしたかった。


あたしの大好きな人。
さよなら、ずっとあなたを想ってる。


あたしはしゃがみ込み、痛む胸を抑えて、一人泣き続ける。


涙を脱ぐって、抱き締めてくれる人はもういない…そう、分かっていたから。