one more chance――美少年は女総長――


みんなそれぞれ部屋に行ったり、何処かに遊びに行った。

俺は風呂に入った後、夜風に当たろうと裏庭に出ると彪牙と風香さんがいた。

その2人の背中はどこか切なげだった。

「あの2人はそっとしておいてやれ」

急に後ろから話し掛けられて身体が一瞬地面から離れた。

「と・・・冬悟、驚かすな」

「2人は本当は想い合ってる」

「あ、だからナンパの時もの凄いオーラで睨んでたのか」

納得。

「あの時は凄かった」と冬悟はニヤつく。

「いきなり2人同時に立ち上がって、黒いオーラ放って足早に行ったから何事かと思った」

冬悟は爆笑していた。



「彪牙は分かるけど何で愁まで?」

「それは伶の事、大事に想っているからだろ」

「?総長としてか?」

「まぁ、そういう事にしておけ」



変なの・・・。

彪牙が青龍の総長で有る限り、危険な目に合わせるかもしれない為、彪牙は結ばれない事を誓ったらしい。

でも、今は総長ではない。

2人を導くのも総長の務めだよな。

「冬悟、俺2人の所行ってくる」

冬悟は一端、俺を止めようとしたが「行ってこい」と背中を押した。

冬悟はどことなく秀平に似ているな・・・──────