「お父さん、お母さん何処?」

この日は夜になっても母親の姿が見えず、私は父親に訪ねる。

「どうしたんだろうな。でももうじき帰って来るさ」

「大丈夫」と言いながら微笑む父親に私は「うん!」と答えた。

そしてインターホンが鳴りドン!ドン!とドアを叩く音が聞こえた。

「誰だろうこんな時間に」と父親の言葉とは逆に私は「お母さんだ!」と言って玄関のドアを開けようとする。

「待ちなさい、伶!」

父親の言葉よりも先にドアが開いた。

「おばさん誰?」

ドアを開けると怖い顔した女の人と私と同じ5歳くらいの女の子がいた。

その女の子が「柚原 姫乃」だ。

「居るんでしょ?ドロボー女!!」

私はあまりにもその女の人が怖くて父親を見る。

「私の夫を返して!」

「ちょ、いきなり何なんです!?」

女の人は父親を見ると少し動揺していた。

そして「あの女居ないのね」と言いながら、父親に1枚の写真を見せた。

「うそ……だろ……」

父親が言うのと同時に私も写真を見る。

――――!?

その写真には私の母親が男の人と腕を組んでいる姿だった。

その男の人が柚原 姫乃の父親だ。

写真を見せられてからの事、次の日も次の日も柚原 姫乃の母親からの嫌がらせが始まった。

父も私も何も悪くないのに…

それからというもの、父親が見る見るうちに疲れきっていった。 そして嫌がらせに耐えきれなくなった父親は私に手を挙げるようになった。

そして事件が起きた…