アシスタント!!

ふと、那住が仕事机の引き出しを開け、中から一冊の雑誌を差し出した。


とても古いものだ。20年近くは昔のものだった。


が、きれいにビニールで包まれていた。


「これは…?」


言って、あっとなった。


直見が最初で最後に佳作入選したときの雑誌だ。


「これ…」


「直見さんのファン第一号は僕です。大切に取っとりました。

まさかこんな形で会えるとは思いませんでしたけど。

直見さんの絵が、僕の絵に似てるんじゃなかです。僕の絵が直見さんを真似てるとです」


「先生…」


まじまじと本を眺める直見。


胸が熱くなった。


もう今となっては、自分しか持っていないそれですら、

実家の押し入れの奥に仕舞ってしまったものなのに。


「よかったわね。直見。こんな素敵な人に出会えて」


母が優しく肩を抱いた。


「……うん…うん、…ありがとう」


目頭が熱くなる。


家族みんなで、こんな穏やかな時間を過ごしたのは、いつぶりだろう。


もしかしたら、初めてかもしれない。



そしてこの年、


那住のコミックスが、年間売り上げ最多で最優秀賞を受賞した。