気がつくと、私の頬を
数滴の雫がつたっていた。
(…この曲…お父さんの……っ)
思い出すのは、大好きな
音楽家のお父さんの姿。
もう決して会うことが出来ない
お父さんの姿。
三年前、私が5歳の頃
事故に遭って亡くなってしまった。
初めて見るお母さんの涙は
とても綺麗だったことを覚えている。
私に隠れながら
一人で泣いているお母さんを見て、
(これからは私が
お母さんの傍にずっといるんだ)
子供ながら、
私はそんなことを考えていた。
この曲は私のお父さんが
生きていた時に最後に残した曲だ。
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