次の瞬間、 男の子の指が跳ねた。 フワッと跳ねた指が 音を創り出していく瞬間を見た。 さっきまで聞こえていた 小鳥の鳴き声も 風が揺らす木の枝の音も 消えてしまったみたいに 何も聞こえなかった。 この世界には、 私と男の子とピアノの音しか ないような不思議な気分だった。