いつもならお母さんの言う通り 静かに留守番してる筈なのに、 この日は何だか違った。 (このままだと “ヨウ君”に お母さんをとられちゃう…!!) 私の中で何かが弾けたみたいに 私は扉を開けて外の世界に飛び出した。 場所は知ってる。 学校の帰り道に大きなお屋敷がある。 そこにお母さんが入っていくのを 何度も見た。 何度もお屋敷の中から聞こえる ピアノの音を聴いた。 (きっと、あそこだ‥‥!) 私は無我夢中で街の中を駆け抜けた。