【星川さんの過去編】


「‥‥お母さん、もう行っちゃうの?」

頬を夕焼け色に染め
涙を浮かべる少女。

「そんな悲しい顔をしないで?
知らない人が来ても、
絶対に家に入れちゃダメよ?」

「うん。‥‥お仕事、頑張ってね。」

「ありがとう、いってきます!」

―――バタン。

明るい空間と孤独な時間に
境界線を引くかのような
静かに閉まる扉。