「……………」




近づいてはみたものの




こーゆーときって




何て声をかけたらいいんだ?




自分から女に話しかけたことなんてない




「……わっ」




バサッ




そうこうしているうちに




佐倉の手から2冊ノートが落ちた




キラーン




俺の中の何かがそれに反応した




俺はそれを拾うと




「それ、半分……もつ」




自然と口が動いていた




これ、不自然じゃねーよな…




チラッと佐倉を見る




「……っ」




お前……なんつー顔してんだよ




「あ…だ、大丈夫……です」




意外とハスキーな…小さな声が聞こえた




そしてうつむく彼女




まただ。




また……あの時みたいに俺の顔を見ない




「なぁ…」




不思議に思って手を伸ばす




パシッ




その手は彼女には届かなかった




「コイツに触れるな」




俺の手をはらった男




「穂香…大丈夫か?」




軽く俺を睨んで佐倉に尋ねる




行き場を失った手をおろし




「なに、お前」




急に出てきた男に尋ねる




邪魔、すんなよ




「穂香……穂香?」




だが、俺なんかいないように




佐倉に話しかけるその男




イラ




無視かよ




何か言ってやろーと思って声を出そうとした




けど、出なかった




佐倉が………泣いてたから_____