大学院薬学研究科を卒業するまで、あと一年。


そろそろ、卒業後の進路を決めなければならない。



学食でランチセットをお盆に乗せて、空いているテーブルを探していると、遠くから手を振る鴨川を見つけた。



「お疲れ」



鴨川の向かい側の席に座り、メインの塩唐揚げから食べ始めた。



「なぁ、宮﨑は進路どうすんの?大学に残るのか?」


「どうすっかな…。大学で助教になるか、いや、実績がないからダメだな。じゃあ製薬会社とか」


「そうなったら、部署はどこ希望?」


「部署⁇」


「製薬会社なら開発職か研究職あたりに就くんじゃないか?それともMRとか、意外と営業向いてたりして⁉︎」



薬剤師の職場というと調剤薬局やドラッグストアが主だが、近年「企業薬剤師」という資格を活かした働き方がある。