一ヶ月後、涼太はいつもの様に大学の研究室にこもって実験をしていた。その涼太の背後をたまたま通りかかった鴨川が様子を伺った。



「最近、調子が良さそうだな」


「そうかな…いつもと一緒だよ」



涼太は平然と答えていたが、鴨川は察したのか口元を緩める。



「富永とも話してたんだけど、久し振りに同期だけで飲みに行かないか?」


「いいね、行こうかな」



鴨川の怪しげな笑みを見て一瞬戸惑っていると、涼太の胸ポケットに入っていたPHSのマナーモードが鳴った。



「はい、宮﨑です。はい…分かりました、すぐにそちらへ向かいます」



PHSを切った涼太は一度溜め息をつき、隣にいた鴨川に声を掛ける。