すべてが思い出になる前に






カバンに荷物を詰め込んで、チャックを閉めながら兄ちゃんと会話をする。



「大学でちょっと試合があってさ」


「あんま無茶すんなよ」


「あぁ。みんなが心配するようなガチなやつじゃないから」



父と母は兄の背後から心配そうに涼太を見ていた。



「仕事に影響しない程度にしなさい」


「分かってるって」



テニス用品一式をカバンに詰め終えて、玄関前で待っている照史の車に乗せた。



「じゃあまたな‼︎」


「たまには筋トレしに帰ってこい」


「分かった」



どんだけの筋肉バカなのか、親父も兄貴も仕事柄そうだけど、俺はそうじゃない。でも…たまには帰ってあげた方が親は喜ぶんだなと実感した。