すべてが思い出になる前に






実家の前に車を停車して、助手席から降りる涼太は運転席にいる照史に声を掛けた。



「荷物持ってすぐ戻って来るから待ってて」



涼太は実家の玄関のドアをガチャっと開けた。



「ただいま」


「涼太、どうかしたの?」



突然帰ってきた息子にビックリした母親は、車庫で筋トレしている父親と兄ちゃんを呼びに行った。


その間に二階の自分の部屋に入って、クローゼットの中に閉まっていたテニス用品一式をカバンに詰めていた。



「涼太、テニス用品なんか持ち出してどうするんだ?もしかして…またテニス始めるつもりか?」



二階に上がってきた兄がドア越しから話しかけてきた。