「‥‥おい、これお前のカバンだろ」
聞こえてきたのは昨日と同じ少し低めな声。
へっ?カバン‥‥?
顔を上げて男の子の手元をみるとそこには昨日思わず置いてきてしまったカバンがあった。
‥‥もしかして、これを届けにわざわざきてくれたのかな?
「あっ、ごめん‥っ。ありがとう」
「ん。」
短いそっけない返事しか返ってこなかったけど、カバンを届けにきてくれたことに間違いはないようだ。
それなのにびびってしまった私は最低だ‥‥。
「‥でもどうして私のクラスわかったんですか?」
何クラスもある中でぴったり当てられるのはすごいとしか言いようがない。
もしかして1クラスずつ回ってくれたとか‥‥?
うん。さすがにそれはない。
1人でいろいろ考えていると
「‥俺、同じクラスだから」
そう言いながら私の隣の席に座る男の子。
ん‥‥⁈
同じクラスで隣の席ってことは‥‥
まさかこの人が佐野真琴くんなの⁈

