「へー、気づかなかったな」
と俺は返事をしながら、今までの大北を思い返していた。
と言ってもちゃんと話すようになったのはここ最近だけど。
「大北って図書館に結構いる割には、本読んでるとこ見たこと無いよね」
暇じゃないの?、聞くと、
彼女は堅そうな顔を浮かべながら、
「本は確かに読まないけど、図書委員は意外と忙しいんだぞ」
そしてちょっとだけ笑顔を浮かべると、ほら着いたよ、と言って先に映画館へ入っていった。
チケットカウンターで空席を教えてもらう。
真ん中寄りの席が2つ空いていたので、そこのチケットを買う。
飲み物だけ買って、席へ向かった。
俺が頼んだのはコーラ、大北はアイスティーだった。

