「んー、一応先にチケット買うか。
どのくらい混んでるのかも分からないし」
俺の意見に大北も、そうだね、と納得して、とりあえず映画館まで向かった。
「練習忙しそうだけど、合宿とかあるの?」
歩きながら、大北が聞いてきた。
サッカー部は夏休みの間、毎日のように練習がある。
3年生が引退し、今は新チームを作り上げる大切な時期なのだ。
「うん、今週末から」
「何泊?」
「5泊6日だよ」
うひゃー、と大北は目を丸くして、
「洗濯大変そうだねー」
1人で呟いていた。
「そう言えば、大北は何部なの?」
こちらからも話題を振る。
去年も忙しそうだったから、てっきり部活をしているものだと思っていたけど。
「え、何も。図書委員だけだよ」
「え、うそ。去年も忙しそうだったじゃん」
大北は、俺にそう言われると、思い出そうとするかのように視線を上に向ける。
「……多分、それも委員会じゃないかな」