ファンタジー・ボーイ




「あー、そうだ。

大北、もう帰る?」



平石にそう言われて、時計を見るとあと少しで閉館時間だった。

今日はもう誰も来ないと思う。



「そうだね、今日はもう閉めちゃおうかな」



「支度とかあるだろ?

俺もまだ着替えるし、一緒に帰ろうぜ」



急な提案に少し驚いたけど、彼は何とも思ってないようだった。



「うん、そうだね。帰ろっか」



下駄箱で待ってる、と言うと平石は図書館を出て行った。

私も閉館の準備を終わらせなければ。