刺々しいデザインで、描かれたタイトル。
銀髪の少女が、架空の動物だろうか、北国の大きくて強そうな動物に跨がっている、そんな表紙だった。
手を伸ばして、本を掴む。
のそのそと姿勢を元に戻すと、私は本に触り始めた。
本を開くことなく、表紙を撫ぜたり、背表紙を眺めていたりしていた。
「うーん……」
あ。
もわっとした空気を感じたと思ったら、入り口に平石がいた。
さりげなく、返却用の本棚に持っていた本を置く。
もう時刻は夕方だったけど、平石はまだ部活着のままだった。
「あ、アイスヒルじゃん」
彼はカウンターへ寄ってくると、私の置いた本が何か気がついた。
「大北も“予習”してたの?」
私が眺めていたのは明日みる映画の原作に当たる巻らしい。
何気ないその質問に、曖昧に笑って、
「んー、まぁそんなとこかな」
と返す。あ、そういえば。
「何で平石こっちに来たの?
この前借りていったばっかじゃん」

