結局、平石と学校に一番近い映画館で観ることになった。
その最寄り駅で待ち合わせて、何時に集まるかも一緒に決めた。
約束の日の前日、今日も図書館へ来る人は無く、私は1人で英語の問題集と戦っていた。
平石は週に1、2回練習の合間にここへ来る。
お互い特に約束はしていないし、一昨日きたばかりだから今日も来ないと思っていた。
「んー、暇だなあー」
シャーペンを置いて、おもむろに伸びをしてみた。
そして、そのままカウンターに突っ伏す。
カウンターは少しひんやりとしていて、気持ちよかった。
「今日は英語おしまい」
と言って、ノートを閉じる。
そして、私はカウンターに頭を載せたまま、視線を上に向けた。
『シンボル・オブ・アイスヒル』の本がそこにあった。

