「いやー、あちーな。

まじで俺、これ以上練習したら死ぬ」



顔をしかめながら入ってきた平石は予想以上にここが涼しかったのか、顔を緩めてこちらへ近づいてきた。

そして汗で色が変わったシャツをパタパタさせながら、袋を差し出してくる。



「そんなんで、死んでどーすんの」



と言いながら、私も受け取った袋から本を出して返却手続きを始める。



「ほんとに休憩までが長いんだよ。

練習してもしても時間が進まない」



絶対何度かクラッと来たわ、とか言いながら平石は奥の書庫へと消えていった。

私も彼が読み終えた本を後ろのキャスター付き本棚に入れる。

後で元の場所に返さなきゃ。

きっと平石は今日も新しいのを借りていくだろう。