「ジョンお疲れ様。喋り倒してたね」



市場を取り仕切っている果物屋の店主から報酬を受け取っていたジョンにカイリが話しかけます。

どうやらジョンの仕事は全部終わったみたいね。



「お、カイリ。

今日はどうも話すことが多くてだな、待たせたよな」



カイリは笑って首を横に振りました。

一緒に広場を抜け、市場の隅の方へと歩きます。

店も何も無い、敷地の角にジョンの箱を置いて、2人は並んで座りました。



たわいもない話をポツポツと交わしていきます。

仕事の途中で会った人のことや、美味しかった物、カイリの日常には無いことが、ジョンの話には溢れていました。

カイリも自分のことを話していきます。

最近見つけたもの、ユアンのことを、ジョンは面白そうに聞いてくれました。



「しかし、この街の連中はほんと、スエカリクに抵抗が無いよな。

他の街や領だとよ、おっかなくて近づけない人が普通なんだよ。

市場に出てくることだって無いし、いっつも城ん中いるからさ」



「そんな怖い物扱いすること無いのに」



「人間はな、例え同じ人間だとしても意志疎通出来ないと恐怖を感じるもんなんだよ」



「でも、話せること以外で意志疎通しようが無いじゃないか」