▷▷▷


───カイリは今日も市場へと出掛けていました。

片時もじっとしていられない彼は暇を見つけては街中を歩いていたのです。



「さあさあ、今日は朝からさえずり屋が来てるよ!

聞いたニュースをみんな、歌うように語っちまう、

うぐいすのジョンとは俺のことよ!

……おっ、カイリの坊主じゃねぇか、ご無沙汰だな」



カイリはどうやら、このさえずり屋と知り合いみたいだね。



「ジョン!久しぶり!」



カイリはジョンを見つけた途端に、彼に駆け寄って飛びつきました。

ジョンはしっかり抱き留め、カイリの黒髪をわしゃわしゃと撫でます。



「お前もいるなら、先にさっさと仕事を済ませちまおうな。

ほら、そこで目ぇ見開いて、俺のさえずりを聞いとくれ」



そういうと、ジョンは広場の中央へ行き、背負っていた箱を下ろして、上に立ちました。



「さぁ、店主に親方衆、今日はリットンから出来立てほやほやのニュースが盛り沢山だ。

一つも漏らさず、聞くんだぞ。

それじゃあ───」