その日の帰りのホームルームが始まる前、教室前の廊下で大北を捕まえた。
「読み終わったので、返却してといて下さい」
袋に入れたまま、本を両手で渡す。
はい、承りましたと、彼女も軽くふざけたように仰々しく両手で受け取った。
「そしたら、あと2冊持ってるの?」
袋越しに冊数を確認したのか、大北が聞いてきた。
先週俺が何冊借りたのか、覚えていたらしい。
「うん、それは来週ちゃんと返す」
「あ!」
何かに気づいたのか、大北が急に手を差し出してきた。
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