「おおきたー。貸し出しお願い」

ドンっと音がして、カウンターに分厚い本が置かれる。

しかも数冊。

椅子に座ったまま見上げると、平石がちょっと嬉しそうに立っていた。






図書館での彼と私の関係は今までとはまるで変わっていた。

学校の図書館の品揃えが、近所よりもすごいらしい。

私は本を読むわけでもないので、知らなかったんだけど。

平石が好きそうな本がとにかく沢山あるみたいなのだ。

それで私が昼休みの貸し出しも担当していることを嗅ぎつけて、毎週のように通い始めた。



「昼休みなら誰もいないから借りにくるチャンスじゃん?」



とか言って、自分の趣味が私に知られたのはあまり気にしてないみたいだ。

私の昼休みの業務は水曜日なので、平石も当然それに合わせて来ている。

早弁までしてくるのだから、よっぽど本を借りに来たくてしょうがないんだろうな。