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───眠れないの?仕方ないなぁ。
じゃあ、ちょっとだけ、お話しをするね。
……こことは別の世界の話。
ある世界に文字のない、ウヘルという国がありました。
本も新聞もウヘルにはありません。
人々は自分の両親や師匠から、家業や技を学んでは次世代へと伝えていました。
買い物も屋台や、市場で言葉で値段や品物を言って、取引してたんだよ。
さえずり屋という、国中を歩いてニュースを伝える職業もありました。
彼らはお金もらって、市場や酒場でその村の人達に最新のニュースを話して聞かせていました。
離れていては音信が途絶えるから、家族は基本的に同じ土地や近い村で暮らしていたんだ。
ウヘルでは文字が無いなりに、みんな工夫をして、言葉や身近な人達の関わりを大切にしていた。