桜も完全に散って、新しい学年にもすっかり慣れた。
うちのクラスは、みんな仲がいいのか、休み時間はいつも教室が賑やかだ。
私は自分の席に座って、斜め前の楽しそうな人だかりを眺めていた。
その中心で、笑顔で周りの話を聞いているのは平石だ。
「平石君たち、仲いいねー」
見ていたのがバレたと思い、ビクッと横を見上げると、隣で友達の佳奈(かな)が立っていた。
私と同じようにぼんやり平石たちの集団を見ている。
「びっくりしたー。いつからいたの?」
「夏穂が平石君を見てるのが分かるくらいには長く」
げ、そんなに。
気になるの?と佳奈が聞いてきた。
気になるって言われても……