カイリは母親のそばへ寄ると、耳に手を当てて、



「ユアンのお父さんとお母さん任務に行っちゃったんだ。

ご飯だけでも、いいでしょ?」



と囁きます。

それを聞いた彼女はユアンへ向き直ると、両手を広げ、静かに抱きしめました。

そして、食卓に座らせます。

ユアンは、親子の会話を察したようで、困ったように席を立とうとしました。



『だめだよ』



カイリはにっと笑うと、



『1人で食べるの、もっとだめだよ』



と返します。

そして自分もユアンの隣へ座りました。

母親が持ってきたのは肉のスープとパンです。

カイリはそのためにお使いに行っていたのです。



温かい気持ちで包まれた、とても静かな夕食でした。



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