『街に出てくるの、めずらしいね』
カイリがパンの袋を持ったまま、手をごにょごにょと動かします。
この2人の間には、お互いでしか通じない手ぶり身ぶりがあったのです。
きっとカイリは誰よりもスエカリクと会話が出来る少年でした。
ユアンはカイリの動きに答えるように、2本の指を立て、両耳を引っ張るように手を動かしました。
『2人、お仕事』
ユアンの両親はディズル伯爵の任務で、どこかへ行ってしまったのです。
スエカリクが主人の手紙を届けるときは、通常何人かの隊を作って行きます。
任務中には、命を狙うものもいるからね。
スエカリクは最強の部族だ、と言う人もいるくらい強いんだ。
ユアンも、武術を習いに城へ言っているよ。

