それにしても好きな物は人を変えるんだなぁ。

いつも爽やかそうに笑ってるだけの平石が、おどおどしたり、困った顔をしたり、かと思いきや突然嬉しそうにニヤニヤしたり。

くるくると表情が変わっていた。



「そういうの、羨ましいよね」



図書館には誰もいないけど、つい誰かに話しかけるように喋ってしまう。






平石が借りていったあと、図書館には誰も来なかった。

私は1人気ままに、仕事を見つけては片づけていく。

番号通りに書架の本を並べ直したり、新しく来た本に透明なフィルムをかけたり、意外と忙しいのだ。

いつも通り、閉館するまで業務をこなして、私は1人で帰宅した。