ファンタジー・ボーイ




彼とは去年から同じクラスだったけど、周りに人が絶えない奴だ。

どちらかと言えば、キリッとした顔立ちの平石。

サッカー部だから尚更、硬派で強面(こわもて)に見えがちだ。

でも男女関係なく、誰にでも話し掛けて、遊んで、一緒に笑ってて、とにかく社交的なのだ。

だから一人向きの読書、しかもファンタジーが好きなんて思っても無かった。



「でも何であんなに隠したがるんだろう……」



平石は終始、自分の読書の趣味が周りにバレるんじゃいか、気にしていた。