「それにしても意外過ぎるー……」 平石が去って、誰もいない図書館。 カウンターの椅子にもたれながら呟く。 探していた本を見つけた時の平石は子供みたいに顔をほころばせて嬉しそうにしていた。 誰かに笑いかけるのとはまた違う、自分の中の何かが満たされたような、そんな笑顔だった。 「あんな笑い方するんだねー」 座ったまま、クルクルと椅子を回転させながら、さっき出て行った平石のことを考えていた。