ファンタジー・ボーイ




「ほら、あった」



大北に連れられて、図書館の入口の方へ向かうと目当ての本が置いてあった。



「おおー……」



何年振りの新作とご対面を果たして、自然と高まる、俺。

手を伸ばして、棚から本を手に取った。

風にはためく異国の旗を掲げながら、雪原に立つ2人の少年と少女が表紙に描かれていた。

幼い面影を残しながらも覚悟を決めた表情から、この本で最終巻なのが伺える。



「そんなに楽しみだったんだ」



大北は物珍しそうな目で俺を見ていた。



「平石もそんな顔するんだね」



ん?



「ずーっとお預けを食らってた犬か子供みたい」



い、犬か………



「まー、楽しみだったしな。

結構俺のストライクなの、話も主人公も」



って何打ち解けたように話してんだよ!

バレちゃったんだぞ、俺のささやかな趣味が!