ファンタジー・ボーイ




「ていうか、そしたらここじゃないじゃん。

平石の探してるのって新刊本でしょ?

そしたら入口にある新着図書コーナーだよ。

ここは普通の書架だもん」



──あ。

そーじゃん、新しいのはどこの図書館でも新着コーナーに用意されてる。

いくら初めて学校の図書館を使うからって、どこの図書館にもありそうなのに。



「……気づかなかった」



ていうか、知り合いに見られたくなくて慌てて奥へ行ったんだった。

文学ジャンルである900番台の書架は入口から遠いのだ。

誰かに見られないように急いで済ませようと、脇目も振らずに書架に向かったのが逆に良くなかった。