無くしたもの

アッシュ『あんたがここのボスか?』

その少年は驚くほどの美貌を兼ね揃えていた。

とてもオーサーを倒し、ボスの座に君臨したとは信じ難い。

アッシュ『3区はちっせえと聞いていたが、まさかボスが女とはな?』

『あなたがオーサーを倒した新しいボスね。名前は?』

アッシュ『アッシュリンクスだ。お前は?』

『由梨よ。ただの由梨。』

アッシュ『俺はここら一体を俺のもんにしなくちゃなんねえんだ。言ってる意味わかるよな?』

私は深くため息をつく。

まさかケインが言っていたことが本当になるとは、

リンクスとは山猫という意味だが、彼の闘志はタイガーのようだった。

『話し合いましょ?私は3区があればいいの。貴方の縄張りには入らないわ。』

アッシュ『それは不可能だな。あんたに残された選択肢は、俺と戦って陣地を守るか、黙って明け渡すかだ。』

私はケインの方をちらりと見る

彼は両手を掲げた。

『はぁ、あんまり好きじゃないのよね。』

私がそう言った瞬間、彼の一撃目が私の顔の横を通った。

……へぇ、オーサーを倒したって言うのは嘘じゃないみたいね。

私はすかさず拳をみぞおちきめがけて放つ。

アッシュ『あめぇぞ!』

彼はニヤリと笑いながら私の拳を止めた。

のですかさず蹴りをお見舞する。

アッシュは少しばかり吹っ飛んだものの、慣れっこのようで全く効いていなかった。

『ふーん。ちょっと本気出さないとやばいかな?』

アッシュ『俺が勝つ。女に負けるなんてありえねぇ!!』