無くしたもの

ブランカは私がアッシュのそばにいれば死ぬと思っている。

そしてアッシュにも生きて欲しいと考えている。

殺したいと思っていた相手を目の前に実行できない私も私だ。

月龍『聞いてますか、』

『っ、…あんた誰』

月龍『ずっと話しかけてたんですけどね、ユーリさん。僕は月龍です。今はブランカを雇ってる主ですが』

『……あんたも敵でしょ。私に近づくと首が飛ぶわよ。』

私はそう言ってベッドの上で両足を抱えて座る。

月龍『奥村英二に会いますか?』

『……は?』

月龍『彼ここにいますから、』

『あんた 一体何考えてるの?アッシュがあの銃を撃った時言った言葉は嘘だったの?』

月龍『彼をここに』

するととたんにドアが開いて、後ろ手に拘束された英二が入ってきて、

部屋に入るなり解放された。

手は繋がれていなかったようだ。

『っ、英二!!』

私は走って英二の元に向かう。

英二『由梨!!無事だったんだね!!顔に怪我してる。』

英二は私の頬を撫で悲しそうな顔をした。

英二『それにその髪と瞳……』

『隠しててごめんね。これが私の本当の姿なの。』

英二『アッシュと並んだらより一層目立っちゃうね。』

英二の優しい笑顔に、私は涙が出そうだった。

月龍『感動の再会と言ったところですか、』

私は月龍をキッと睨みつける。

英二には手出しはさせない。

『アッシュを吊ろうとしてるの?』

月龍『どうやら君たち2人は彼のお気に入りだ。ユーリさん、君に至ってはあのブランカも』

『私はどうなってもいいわ、けど英二には触れさせない。』