無くしたもの

ｱｯｼｭ『いいからもう帰れよ』

『ここまで来てそれ言う？』

私とｱｯｼｭは約束通り 倉庫に来ていた。

ｱｯｼｭが英二と何かを話していたが、私は何も言わなかった。

途端に光が当てられる。

ｱｯｼｭ『くっ！』

ﾃﾞｨﾉ『待っていたぞ』

月龍『君があっさり言いなりになるなんてね。……ん？おまけ付きか。』

黒い髪の長い男が腕を組んで私を見る。

月龍『君の先生はたしかにすごい腕の持ち主だけど、戦わずして負けを認めるのかい？』

ｱｯｼｭ『格が違うんだ。勝ち負けの問題じゃねぇんだよ。』

ﾌﾞﾗﾝｶ『そこまで言って貰えるとは光栄だな？』

忌まわしき、懐かしい声が響いた。

ﾌﾞﾗﾝｶ『やぁ、海流の島々はどうだった？』

ｱｯｼｭ『ったく、勿体つけやがって！殺したきゃさっさと殺せよ！剥製にでも何でもすりゃあいいだろ！！』

月龍『随分強がりを言うね。君らしくない。』

髪の長い男は銃をｱｯｼｭに向ける。

ｱｯｼｭは手で私をかばいながら、

ｱｯｼｭ『銃が撃てるかい？お嬢ちゃん』

とからかった。

男は怪しく笑い、

月龍『僕じゃない。…君が撃つんだ。君自身の頭をね。……そしたら、もう英二には手を出さないと誓うよ。』

とはなった。

とんでもない提案だが、ｱｯｼｭは撃つだろう。

私はなんとなくそう感じていた。

月龍『それとこの女はなんだ？ｱｯｼｭ 君の大切な人か？』

男は私を上から下までまるで汚いものを見るような目で見た。

『私が勝手に着いてきただけよ。』

月龍『ふーん？……で、できる？』

するとｱｯｼｭは男が差し出した銃を奪い、躊躇わずに引き金を引いた。

ー彼は死ぬことを恐れていない。