昔、お母さんに少し怖いおとぎ話を聞かせてもらったことがある。

だけど、不思議とその物語に出てくる姫と、自分が被った気がして、大泣きした。

その話は、きっと子供に読ませるものじゃないのに、お母さんは私に読ませた。

それから3年。私が7歳のとき、お母さんは病気で他界した。

母が買ってきた本は形見になって、私はそれを大事に持ち続けた。

まさかそれが、ひとつの扉を開ける鍵になるとは知らずに。